クレマチスを育ててみたいのですが、初心者におすすめの種類と育て方を教えてください。
クレマチスは、海外でつる性植物の女王と言われ、日本でも年々人気が高まっています。
ここでは、クレマチスを始めて育てる方や、ガーデニング全般の初心者向けに、丈夫で栽培しやすく、長く花を楽しめる新枝咲き・四季咲きのクレマチスについて、育て方やおすすめの花を紹介します。
クレマチスは、とても品種が多く、栽培の難易度が易しいものから難しいものまでいろいろあります。
写真や花の記憶で「こんな花が好き!」「これがいい!」と思っても、実際にどれを選んだらよいか、属名や品種名を見ても難しくてわかりにくいと思います。
まずはクレマチス入門編として、ここで紹介する栽培難易度のやさしいクレマチスを栽培してみましょう!
初心者におすすめのクレマチス ー新枝咲き・四季咲きー
初心者さんには新枝咲き・四季咲きのクレマチスをおすすめします。
ということで、
お手入れが簡単で花を長く楽しめる 新枝咲き・四季咲き のクレマチスがおすすめです
▶新枝咲きや四季咲きなどの用語の意味ついては以下をご覧ください
クレマチスは、種類によって花がつく場所(つき方)が3つあります。
- 新枝咲き その年に新しく伸びる枝の先で花が咲きます → 花が終わったところを剪定すると、そこから新たに伸びて次の花が咲きます
- 旧枝咲き 前年に伸びた枝で花が咲きます → 古い枝を残さずに切ったり切りすぎると花が咲かないので、枝が冬に枯れたように見えても残す必要があります。(=剪定が少し難しい)
- 新旧枝咲き 前年に伸びた枝から出る新しい枝(脇芽)に花が咲きます → 古い枝を残さずに切ったり切りすぎると花が咲かないので、枝が冬に枯れたように見えても残す必要があります。(=剪定が少し難しい)
剪定は、新枝咲きなら基本的にどこで切っても花が咲きますが、旧枝咲きや新旧枝咲きは、前年の枝を残さないと花が咲かないので注意が必要で、クレマチスの花が咲かない原因としてこの切りすぎがとても多いです。
クレマチスの開花時期は、種類によって2つあります。
- 四季咲き 4月から11月頃の間に何度か花が咲く
- 一季咲き 一年に1回花が咲く(早春か冬が多い)
開花期をずらして何種類かを育てると、1年を通してクレマチスの花を楽しむことができるので、愛好家が多いです。
新枝咲き・四季咲きは、主に4つの系統(=グループ)があります。
系統名 | 特長 | 花の色 | 花の例 | |
1 | インテグリフォリア系 | ・ ベル型の花や花弁がねじれた花もある ・木立性、半つる性が多い | 白、青、紫、ピンク | |
2 | テキセンシス系 | ・チューリップ型の花が横向きに咲く ・つる性 | 赤、ピンク、白 | |
3 | ヴィチセラ系 | ・花がびっしりと多く咲く ・つる性 | 紫、赤、ピンク | |
4 | ヴィオルナ系 | ・ベル型の花が多い ・つる性 | ピンク、紫、白 |
クレマチスは、原種が約300種あると言われ、さらに園芸用に交配された品種は2000種にのぼり、現在流通しているものは300品種ほどあります。
交配種が増えた現在は、原種に基づく分類では明確に区別できない種があり、花の咲き方(つき方)、開花の回数、花の大きさや形、などによって分けられた系統で呼ばれます。
現在10以上の系統があります。
それでは、それぞれのお花を紹介します。
新枝咲き・四季咲きのクレマチスの紹介
栽培しやすく、花が長く楽しめる新枝咲き・四季咲きのクレマチスの4つの系統の花を紹介します。
つる性と木立性があり、花の形も違います。
どこに置くか植えるか、どんな形の花が好みか等、比較しながら好みのクレマチスの見つけてください。
インテグリフォリア系
木立性や半つる性がほとんどで、草丈は1mくらいですらっと伸びる姿が魅力です。枝は細いので支柱が必要です。代表的な品種にロウグチ、流星があります。
草丈 | 耐暑性 | 耐寒性 |
1mくらい | ○ | ◎ |
テキセンシス系
多くは赤系の花が横向きに咲きます。代表的な品種に、プリンセス・ダイアナ、琴子があり、とても人気があります。草丈は2-3mまで大きくなることもあります。
草丈 | 耐暑性 | 耐寒性 |
2-3m | ◎ | ◎ |
ヴィチセラ系
草丈が2-3mくらいまで成長し、春から秋の間にたくさんの花が咲きます。
草丈 | 耐暑性 | 耐寒性 |
2-3m | ◎ | ◎ |
ヴィオルナ系
ベル型の小さめの花が春から秋にかけて咲きます。草丈は2-3mになり、細い茎や巻きひげが触れるものに絡まりながら成長します。
草丈 | 耐暑性 | 耐寒性 |
2-3m | ◎ | ◎ |
育て方
新枝咲き・四季咲きのクレマチスの一般的な育て方を紹介します。
- 系統や品種によって育て方が変わることがあるので、商品タグを参考にして、その株に合った方法で育てましょう。
- クレマチスの苗は、芽が動く前の1月頃から販売され(予約品を含む)、5月頃には花付きの苗が並びます。
- 人気品種は早めに購入しないと売り切れることがあります
- 花付きの方が花の色や形がよくわかります
- 売られている苗は、1年苗から3年苗が多いです
- 種まきや挿し木をしてからの年数です
- 1年苗はすぐに地植えせずに鉢植えにしたほうがよく育ちます
- 2年以上の苗のほうが、育ちやすく、花も咲きやすいです
植え付け
- 時期
- 苗の植え付けの適期は1-2月です
- 春以降に花つきの苗を入手したら、すぐに植えつけます
- 場所
- 一年中屋外で過ごせます
- 日当たりのよい場所を好みます
- 小さい苗や耐暑性が弱い品種の場合、鉢植えにして、夏は半日陰に置いた方がよく育ちます
- 植え方
- 深植えを好むので、
- 地植えは、深めに穴をあけます
- 鉢植えは、1-2まわり大きく、縦に長い深鉢を用意します
- 元肥入りの培養土を使うか、元肥として緩効性肥料を混ぜましょう
- 深植えを好むので、
- 深植えする
- つるを1-2節まで埋めて深植えにします
- 根をほぐさず傷つけない
- クレマチスは直根性です
- 根が傷ついたり、植え替えを嫌います
- 根をほぐさず傷つけないように植え付けます
普段の手入れ
- 水やり
- 鉢植えは、表面が乾いたらたっぷり与えます
- 地植えは基本的には自然任せで大丈夫ですが、晴天が続き乾燥していたら水やりをします
- 肥料
- 開花中(春~秋)
- 緩効性肥料を月1回程度、または、液肥を月2回程度与えます
- 肥料が不足しないようにします(成長中は肥料をとても欲しがる植物です)
- ただし、8月などあまりに暑く、開花やつるが伸びていなければ、肥料は控えます(水は必要です)
- 冬
- 1-2月に寒肥を与えます
- 地植え1株あたり、150-200g程度の有機肥料や緩効性肥料を与えます
- 鉢植えは、鉢の大きさによって調整します
- 開花中(春~秋)
- 誘引する
- つる性の場合は、フェンス、アーチ、トレリスなどにつるを誘引しましょう
- 鉢植えなら、行灯仕立てもできます
- 木立性の場合は、茎や枝を支柱にとめて倒れないように支えましょう
- つるや茎や枝はそのままにしておくと、折れたり、隣り合う植物に絡みつきます
- 花がら摘み
- 咲き終わった花は、株のために早めに花首で切ります
- 病害虫
- ウドンコ病になりやすいので、風通しよい場所で、水はけをよくします
- アブラムシ、ハダニなど、害虫を見つけたら、捕殺するか、害虫対策の薬剤を散布します
▶誘引するための支柱が楽にさせる便利な道具を紹介しています。
剪定
新枝咲きは、強剪定種と言われるくらい、しっかり切っても大丈夫です。
- 1番花(今年最初に咲いた花)のあと
- 今年伸びたつるの半分くらいの高さで、節と節の間を切ります
- 2番花、3番花のあと
- いくつかの節を残して、切りやすいところで、節と節の間を切ります
- 2月頃
- 芽が動き出す頃かその前に、地表近くの節を残して、その上を強めに切ります
- 細い枝は根元で切ります
▶はさみをこちらの記事で紹介しています。手に合った使いやすいはさみをおすすめします。
夏越しと冬越し
- 夏越し
- 比較的暑さには強いですが、強い直射を避けて、半日陰か西日の当たらない場所のほうが弱りません
- 冬越し
- 耐寒性に優れたものが多いので、屋外で過ごせます
- 冬の寒さで花芽が形成されるので、暖かい屋内に置くと、春に花が咲きません
- 地上部は枯れていても、根は生きているので、定期的に乾いたら水やりをします
まとめ
クレマチスはつる性植物の女王と言われ、バラと並んで人気のある植物です。
春から秋まで何回も咲く品種や、春や冬に年1回咲く品種もあり、花の咲き方(つき方)によって、お手入れが変わります。
クレマチスといえば、大輪の花が次々と咲くフロリダ系が思い浮かぶかもしれませんが、新旧枝咲きなので剪定の難易度が上がり、切り方を失敗すると花が咲かなくなることが多いです。
初心者さんには、まずここで紹介したお手入れが簡単で花を長く楽しめる新枝咲き・四季咲きのクレマチスの栽培をおすすめします。これなら栽培の失敗が少ないです。
クレマチスはとても品種が多く、系統によって栽培方法が違います。
おすすめの新枝咲き・四季咲きを入手するときは、
新枝咲き、四季咲き、強剪定
インテグリフォリア系、テキセンシス系、ヴィチセラ系、ヴィオルナ系
などが説明されている花苗を選んでくださいね。
▶クレマチス栽培の参考書籍です。
▶大輪のクレマチスがいい!という方はこちらをどうぞ。
こちらの記事もぜひご覧ください。