種まきの後の間引きや植え替えについて教えてください。
種まきをして栽培すると、多くの場合で間引きと植え替えが必要になります。
言葉からどんなことかだいたいわかると思いますが、本当のやり方はちょっとわからない、という方にお届けしたい内容です。
この記事では、間引きと植え替えについて、なぜ必要か、やり方についてを解説します。
面倒だし、せっかく出た芽を抜くのはちょっと…という方も、王道のやり方を理解してから、避け方を探すことをおすすめします。
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種まきの土について
間引き
間引きとは、種が発芽して密植している場合に、よい芽を残して他を取り除き、株間を広げて成長できるスペースを作ることです。
間引きは必要?
種まきの時に種と種の間隔を十分にとったり、ポットに1粒まきにすれば、間引きはいらないはずですが、実際には、種をばらまきやすじまきにしたり、点まきで数粒をまくことが多いです。
なぜ、密植 → 間引き という面倒な作業をするのでしょう?
密植 → 間引き の目的や理由は、諸説ありますがよく言われるのは、
- 発芽率は100%ではないので、多めにまく。(出てから考える)
- 密植のほうがよく発芽する。よく育つ。(生存競争、乾燥しにくい、力を合わせて土を持ち上げて出る、など)
- 小さい種は出る芽も小さいので、支えあわないと、ひょろひょろと育つ。
などですね。
直まき、床まきに関係なく、数粒ずつまくと、間引きが必要になります。
経験上、発芽率が高く、比較的に大きい種は、最初から間隔をとったり1粒ずつまいて、間引きなしでも大丈夫と思います。
細かい種は1粒を取り出すのも大変なので、数粒ずつまいて発芽してから間引いたり、大きめの種をポットまきにする時なら1粒まきで発芽しないポットを作るより、数粒まいて、最終的に1株することが多いです。
間引きのやり方 タイミングとポイントとコツ
タイミングは、
が基本です。一気に1本にせず、何度か行うことでよい苗を残せます。
間引き方のポイントは、
「⑤成長が早すぎる」は、徒長の可能性があるためです。
残す株元を押さえながら手やピンセットで抜くか、株元をハサミで切ってもOKです。直根性でないものなら、間引いたものを別に植えると育つこともあります。
また、間引きをすると根が動くので、薄めの液体肥料を与えるとよく効きます。
植え替え(移植)
植え替え
種まきから始める栽培は、①床まき ②小さいポットに植え替え ③ひとまわり大きいポットに植え替え ④定植 のように何度か植え替えて育てていくことが多いです。
間隔をとって1粒ずつ直まきをすれば、間引きも植え替えも必要なく、楽ですよね。でも、種をまいて発芽して葉が出るころまでは、とても小さく、広く大きな場所ではほとんどがうまく育ちません。
人間でも、赤ちゃんを大人用の布団に寝かせたり、大きな服を着せたりしませんよね。
土が多いと土が含む水分量が多くなるので種は腐りやすく、水を控えて乾燥すると発芽しません。ほどよい湿り気や温度を保つには、小さい環境が適しています。
成長とともに根が発達するので、小さい環境のままで土の量が少ないと、根が十分伸びられない上、水分不足で乾燥しやすくなるので、大きくなったら、ひとまわり大きなところへ植え替えが必要になるんです。
植え替えは、水分を含め、成長に必要な環境を整えるために行います。種や発芽後の苗の大きさに合った土の量で育てたほうが、よく育つからです。
植え替えの方法
容器に種をまいた苗をビニールポットに植え替える方法を紹介します。これは、鉢上げ、とか、ポット上げと呼ばれます。
基本的に、1ポットに1苗を植えます。植え替えは、種まき後に通常1回して、十分大きくなったら次は定植をします。(苗が小さく、定植前にもう一度ひとまわり大きいポットに植え替えをしたほうがよい場合がありますが、苗の大きさ次第になります。)
最初の植え替えの時期は、種まき後にふたばが出て本葉が3-4枚出た頃が基本になります。
- 準備するもの
- 培養土 清潔で雑菌や不純物のない新品にしましょう
- ビニールポット
- 苗の大きさによりますが、2号(6cm径)、2.5号(7.5cm径)、3号(9cm径)くらい
- 苗の数か少し多めにを準備する
- 土入れ
- ピンセット、ヘラ、竹串 など 苗を取り出す時に使います
- 間引き 植え替えの前に必要なら間引きをする。植え替えで苗を取り出す時に、苗の周囲が開いている方が取り出しやすいです。
- 土を入れる
- 鉢底に鉢底ネットを入れると、土が流れにくく、ポットに虫が入りません。
- 小さい苗なら、8分目くらいまで土を入れて、真ん中に植えるための穴を開けておきます。
- 大きめの苗なら、5分目くらい土を入れておきます。
- 苗を取り出す
- ピンセットやヘラ、竹串(2本で箸のように使う)などを使って苗を取り出します。
- なるべく根を傷つけないように、根が切れないように、まわりから慎重に掘って、苗を取り出します。
- セルトレイなら、底面の穴から割りばしなどで突き上げると、取り出しやすいです。
- 植えつける
- 小さい苗は、開けておいた穴にそっと入れる。
- 大きめの苗は、ポットの真ん中に苗を置き、周りから土を入れる。
- 植えた株元を押さえ、土と根を活着させる。
- 水やりをする
- 植えた苗が倒れないように、優しく水やりをする。
- じょうろでかけるか、霧吹き、底面吸水をする。
- 葉や茎に土がついていたら、やさしく洗い流す(病気予防のため)。
- 置き場所
- 植え替え後に根が活着して落ち着くまでは、風雨のあたらない、明るめの影に置きます
- 3-4日して、植え替えた苗がピーンと元気になってきたら、もう大丈夫、植え替え成功です。少しずつ日光にならし、日なたに置きましょう。
植え替えには、ヘラ付きのピンセットが便利です。
間引きや植え替えはしたくない
それでも、何回も植え替えるのは面倒だし、せっかく出た芽を抜くのはなんだかなぁ、と思う人も多いと思います。
種のまき方、間引きや植え替えの必要性は、種苗会社や生産農家など経験豊富な方々が、「この植物は、種は○○にまいて間引くと、立派な苗に育ちますよ」ということですよね。
なので、残念ながら、たぶん間違いはありません。笑
せっかく育てるのですから、種袋に書かれている育て方をあまり外れないほうが、芽が出ない、育たない、花が咲かない、実ができない、などの失敗は避けられますが、決まり通りに育てなくても案外大丈夫なものも多いです。
間引かず、植え替えず、少々つまっていてもそのまま育てたり、うまく抜ければ、別に植え替えて育てることもできるものが多いです。育てることを楽しみ、結果、花や実が小さくても、プロじゃないし、よしとしませんか?
間引きたくない!植え替えしない!の答えは、結局、いろいろ試して、自分の納得できる種類ややり方を見つけるしかありません、になります。(すみません。)
まとめ
ここでは、種まき後の間引きと植え替えについて解説しました。
- 間引きは、種が発芽して密植している場合に、よい芽を残して他を取り除き、株間を広げて成長できるスペースを作ること。
- 植え替えは、苗の大きさに合った土の量で育てたほうが、成長に必要な環境を整えやすいので行う。
- 間引きも植え替えも避けられればそれでも良い。ただし、種袋に書かれている育て方をあまり外れないほうが絶対に失敗は少ない。避け方はいろいろ試して、自分の納得できる種類ややり方を見つけるしかない。
植物栽培の一番の基礎と言える種まきは、育てる手間がかかるし、苗を買うほうがまちがいなく簡単ですね。
ですが、種をまいて、発芽して、間引いて、植え替えて、最初から一連の成長を楽しんで感動できることは、植物栽培の大きな魅力です。
この記事を参考に、ぜひ種まきから楽しんでいただけたらいいな、と思っています。
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