マルチングについて教えてください
庭の雑草が出ないようにしたい、花壇が乾きやすい、雨が降ると土面の通路がぬかるむ、鉢植えが野暮ったい、などなど、こんな悩みは、マルチングで解決できるかもしれません。
マルチングは、いろいろな資材を使って土の地表面を覆うことを言います。
この記事では、園芸分野のマルチングの種類や、よく使われるマルチング材を紹介します。
マルチングで、地温を上げたり、反対に上がらないようにしたり、雑草や乾燥を防止したり、鉢植えをおしゃれにしたり、使う場所や目的にあわせて資材を使います。
ぜひ取り入れてみませんか?
それでは、マルチングについて紹介します。
マルチングとは
地表面を資材で覆うことをマルチングと言います。略してマルチと言われることも多いです。畑、庭、花壇、空き地、通路、鉢植え、プランターなど、広い場所から小さいところまで、表面を覆います。
このあと紹介しますが、使用する資材は、ビニールシートや、自然素材のわらや腐葉土、木材チップ、石などです。
もともとは、植物の栽培を助けるのが主でしたが、空き地の雑草対策や、表面を覆って装飾し、見栄えをよくするために使用することも増えています。
マルチングの種類ーよく使われるマルチング材
マルチングの資材は、目的によって使い分けます。
わら
マルチとして、昔から多く使われてきたのが稲わらや麦わらです。野菜の栽培で株元に置いて使われることが多いですが、都市部では入手が難しくなりました。刈り取った雑草も同じように使えます。
夏場の地温上昇と乾燥を防ぎます。またわらの持つカリやケイ素などの水溶性成分が土中に流れ出し、肥料効果があります。有機物なので、使用後も廃棄せず土に混ぜ込んで、堆肥化することもできます。
置く量やかけ方によって、水の浸透具合や乾燥の度合いを調節できます。冬場の凍結は防止できますが、日射による地温の上昇は期待できないので、寒い時期は特に目的に応じて使いましょう。
置くだけでは風で飛ばされるので、マルチの留め具を使ったり、麻ひもを張って留めたり、支柱を上に寝かせて置いたりします。
もみ殻(お米の殻)は、古くから使われてきた自然素材のマルチのひとつです。もみ殻に肥料効果はほとんどありませんが、保温や保湿、雑草対策に優れています。すずめが米を探してつつくことがあります。わらと同様に都心部では入手しにくくなりました。
また米ぬかはマルチには不向きです。栄養価が高く、そのまま置くと虫がつき腐敗します。発酵させたりして肥料としての使い方が一般的です。
ビニールマルチシート
畑の野菜栽培で一番多く見かけるマルチで、広い場所を覆うのに向いています。株のために丸い穴をあけて使います。幅は、90cm、130cm、180cm前後の3種類が多く、長さは200mくらいまで筒状に丸めて売られています。
ポリエチレン製で、乾燥を防ぎ保湿効果は高いですが、黒、シルバー、透明、表と裏で色が違うものなど、色によって光の効果が異なります。
- 黒 光を吸収しやすく、地温が上がります。光は通さないので雑草を抑えるのに効果があります。
- シルバー 光を反射させて、地温の上昇を抑えます。またこの光の反射を虫が嫌うとされ、害虫の発生を抑えます。
- 透明 光を通すのでよく温められて地温が上昇しますが、上がりすぎに注意が必要です。一方、光を通すため、雑草も茂りやすく、雑草対策としての効果はありません。
- 表と裏で色が違うもの 黒とシルバー、黒と白などがあります。シルバーと白は光を反射し、黒は雑草を抑えます。表面の色によって、光の吸収や反射が異なるため地温管理ができ、雑草対策に有利な黒と併せられています。季節によって表と裏を使い分けできます。
厚さは0.02mm前後のものが多く、土をかけて押さえるか、マルチ押さえなどの留め具を使って留めますが、とても薄いので、風に飛ばされたり、破れることも多く、使用は1シーズンがほとんどです。
防草シート
雑草対策が目的のシートで、光を通さず雑草の発生を抑えます。ビニールマルチシートより厚手で数年使うことができるので、空き地の雑草対策などに有効ですが、ビニールマルチシートより高価です。
色は黒と緑が多く、シートをはる場所の大きさにあわせて、幅と長さを選びます。耐用年数によって厚みが異なることが多いです。防草シート用の押さえ金具を使うときれいに留められ便利です。
浸水性はあるので、表面に水がたまりにくい反面、すでに雑草が生えているところでは、シートの下で水を得られる雑草がシートを突き破って出ることがあります。防草シートは除草してから敷くことで、その効果を高めることができます。
腐葉土・堆肥
腐葉土は、落ち葉をミミズなどの虫や微生物が分解した土状もので、多くは、土に混ぜて、土を柔らかくしたり、団粒構造にしたりという土壌改良剤として使われます。
地面の上に3-4cmほど厚めに腐葉土をのせると、保水性がよく、温度変化をうけにくいマルチになります。自然に混ざり合ってなくなるので、片づけは不要で、少なくなったら補充します。
堆肥も同じように使用できます。堆肥は、落ち葉だけでなく稲わら、もみ殻、木片、樹皮などの植物性有機物と、動物由来の有機物*(牛糞、鶏糞など)が分解したもので、肥料の位置づけですが、厚めに置くとマルチングの効果があります。
(*バーク堆肥のように動物由来の有機物を含まない堆肥もあります。)
バークチップ
松の樹皮を粉砕したもので、保温効果、乾燥防止、雑草対策などの機能性もありますが、大きめのサイズでボリュームがあり、樹木の株元や庭などに敷くと、見た目がとてもおしゃれになります。
原料が、クロマツなら黒っぽい色合いで、アカマツならレンガのような色です。
自然素材なので永久的に使えるわけではなく、長く置くと分解してなくなりますが、大きめのものは分解にとても時間がかかる上、虫がわくことがあるので、処分する時は土と分けて取り出す必要があります。
ウッドチップ
樹皮だけでなく、木の全体を粉砕したもので、乾燥防止や雑草対策の機能性と、自然な質感で周りの景観になじみやすく人気があります。
原料は、ヒノキ、スギ、サワラ、ヒバなどの針葉樹が多く、使われている木材の種類によって、色や香りが異なります。
厚く敷くと、濡れると乾きにくく、カビが生えたり、虫がわくことがあります。
バークチップより小粒が多く分解が早いので、少なくなってきたら、補充したり敷き替えが必要です。
ヤシガラ(ココヤシファイバー)
ヤシの実の繊維を乾燥したもので、通気性と排水性にすぐれています。室内の観葉植物など、鉢植えの土の上にのせて使うことが多く、とてもかんたんにできます。
化粧石
白や黒の角のない丸い石が多く、鉢植えの土の上を覆って土を隠します。通気性がよく蒸れにくく、鉢植えがおしゃれになります。
注意すること
マルチングは、栽培を手助けしたり、装飾して見栄えをよくしますが、デメリットもあるので、使用する上で注意することがあります。
- 地温
- ビニールマルチシートは、色によって地温が上がりすぎることがあります。マルチを外したり、マルチの上をわらなどで覆ったり、特に夏場は地温が高温にならないように注意しましょう。
- 乾燥
- 水をはじいたり、通しにくかったりすると、水やりをしても根に水が届かず、水不足になることがあります。覆い方や覆いすぎに注意しましょう。
- 雑草対策
- 雑草が生えている上からマルチをしても、雑草が死滅することはほぼありません。マルチをする前に除草しましょう。
- 保湿によるカビや虫
- 乾きにくく湿度が高い状態は、カビが生えたり、虫が集まったりします。自然素材のマルチは特に注意してください。
- 施肥
- 肥料を与える場合は面倒ですが、マルチを外しましょう。片側や一部を外し、植物に均等に肥料が行き渡るようにします。マルチング剤に肥料成分が残ると、腐敗やカビの原因になります。
おすすめのマルチング
マルチングをする場所や用途から選んだおすすめです。選ぶ時の参考にしてください。
使う場所の面積を確認して、必要な量を入手します。
場所や用途 | おすすめのマルチ | 理由 | |
畑や家庭菜園など 野菜の栽培 | わら ビニールマルチ ・早春:透明 ・初夏から:シルバー、白 ・すべての季節:黒 | 機能性を重視 (温度、乾燥・雑草防止など) | |
花壇や屋外のプランター | 腐葉土、堆肥 | 地表面が黒っぽくなりおしゃれ 土と混ぜられるので植え替えの時が楽 | |
花壇 | 化粧石 | 雑草・乾燥防止 おしゃれ | |
大型の鉢植え | バークチップ | おしゃれ | |
樹木の株元 | バークチップ、ウッドチップ | おしゃれ | |
庭や屋外の通路 | ウッドチップ | 水跳ねがなく通りやすい おしゃれ | |
観葉植物など室内の鉢植え | ヤシガラ、化粧石 | おしゃれ |
まとめ
マルチングとは、地表面を様々な資材で覆って、地温を管理したり、乾燥を防いだり、雑草を防いだり、栽培の手助けをしてくれます。また、鉢植えや花壇など、土を隠して装飾すると、とてもおしゃれに仕上がります。
ここでは、マルチングの種類とマルチング材について紹介しました。
マルチングの目的に応じて上手く使い分ければ、栽培がうまくいったり、おしゃれな空間を作ることができます。
マルチングを取り入れたガーデニングをはじめてみませんか?
次の記事もぜひご覧ください。
ガーデニングの道具を紹介しています。ぜひ参考にご覧ください。