冬の飾りやアレンジに使う赤い実のなる木がほしいです。種類と育て方を教えてください。
赤い実のつく植物は、お正月飾りや冬のフラワーアレンジメントにとても便利ですね。
ここでは、身近でよく見かけて使える、南天(ナンテン)、千両(センリョウ)、万両(マンリョウ)を紹介します。
とても育てやすく、おまけに日本では古くから縁起のよい植物として人気があって、「赤い実が成る木」といっても、枝ぶりや実のつき方(=花の咲き方)が違うので、好みや楽しみ方が変わります。
お好みの木の枝を切って飾り、冬を楽しみましょう。おすすめです。
基本データ
南天 ナンテン | 千両 センリョウ | 万両 マンリョウ | |
実 | |||
花 | |||
栽培難易度 (5段階) | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
樹高 | ~3m | ~1m | ~1m |
開花期 | 6-7月 | 5-7月 | 7-8月 |
鉢植え | ○ | ○ | ○ |
地植え | ○ | ○ | ○ |
特長 | ・半日陰で育つ ・直射を嫌う ・移植を嫌う ・葉が紅葉する ・実は漢方で咳止薬になる ・葉は料理に添えられる | ・半日陰で育つ ・実が黄色もある ・花が雨にあたると 結実しない ・地下茎が横に伸び 毎年そこから茎が出る | ・半日陰で育つ ・芽を出しにくい ・移植を嫌う ・実が少し大きめ ・実が白色もある ・葉が斑入りもある |
実のつき方 ー見分け方ー
南天(ナンテン)、千両(センリョウ)、万両(マンリョウ)は、実のつき方がそれぞれ違います。
花が咲いた後に実ができるので、花は実がつく場所に咲きます。
葉の色や形や大きさもそれぞれ違いますが、一番わかりやすく違うのは、実のつき方です。
育て方
- 鉢植えと地植え どちらでも楽しめますが、耐寒性はあまり強くありません。寒い地方では、鉢植えで冬は室内に置くほうが元気に育ちます。
- 植える場所・置く場所 半日陰のところがベストです。直射日光が当たるところ、特に夏の午後の西日は苦手ですが、光が不足すると、花が少なくなって実になりません。
- 植え付け・植え替え
- 春4-5月頃に購入した株の植え付けや鉢の植え替えをします。
- 鉢の植え替えは、数年ごとに行い、根詰まりを解消し、土を新しくします。
- 南天と万両は特に移植を嫌うので、地植えの場合は場所をよく選定し、鉢の植え替えは根を崩さず傷つけないように注意します。
- 水やり 地植えはほぼ自然任せで大丈夫です。鉢植えは乾かないように水やりをします。
- 肥料 基本的に不要です。
- 実をつけるには
- 花が、雨や風で傷ついたり、飛ばされたりしないようにしましょう。
- 特に千両は花が小さいので、鉢植えなら開花の頃は雨の当たらない所に置きます。
- 実が熟してくると、野鳥が食べるので実がなくなります。ネットや網で防御しましょう。目立ちにくいのは、テグス(透明の釣り糸)です。実や枝にふわっとまくと、鳥は嫌がって近づきません。
増やし方
挿し木と種まきで増やすことができます。とてもゆっくり成長するので、花が咲いたり実をつけるには数年かかります。
挿し木
- 時期 3-5月頃
- 挿し穂を作る
- 勢いのある枝を切る
- 剪定で切った枝でもよい
- 先端ではなく、中間部を5-15cm程度切り取って挿し穂を作る
- 土に埋める下側は、よく切れるナイフで茎を斜めに切る
- 30分程度コップなどで水に入れて吸水させる
- 挿し床を準備する
- ポットや鉢に赤玉土、鹿沼土、培養土などを入れる
- 挿し穂を入れる
- 割りばしや棒で、挿し穂を入れるための穴をあける
- 挿し穂にルートンをつける
- あけた穴に挿し穂をいれて、土を押さえる
- やさしく水やりをする(挿し穂が倒れないように)
- その他
- 発芽するのに数か月かかる
- 乾かないように注意する
- とてもゆっくり成長するので、花が咲いたり、実をつけるには数年かかります
▶挿し木のやり方は次の記事で紹介しています
種まき
赤い実の中に種子が入っていて、種まきができます。
- 時期 11月頃か4月頃
- 種子を取り出す 種子を包んでいる果肉をとり、種子を取り出して水で洗う(乾かさない。乾かないうちにまくこと。)
- 培養土にまく 市販の培養土を入れたポットや鉢にまいて土をかける
- 水やり 種まき後は特に乾燥しないように水やりをする
- 成長速度 秋まきは春に、春まきは数週間で発芽しますが、とてもゆっくり成長するので、花が咲いたり、実をつけるには数年かかります
- その他 鳥が実を食べた後にタネの入ったフンを落とすと、春に発芽することがあります。
▶種まきについては以下の記事も参考にご覧ください。
剪定
南天は早春に樹形を整えたり、古い枝を整理します。
千両と万両は、剪定が苦手です。多くの樹木のように樹形を整えたり不要な枝を整理すると、成長できなかったり、切ったところから枯れたりするので、数年に1度くらいで十分です。
時期 | 切り方 | その他 | |
南天 | 4月頃 | 混みあった所の枝を枝元で切る ・古い枝 ・実のなった枝(数年は実がつかない) 樹形を整える | 実が落ちて終わってから剪定する |
千両 | 2-3月頃 | 数年たった黒ずんだ古い枝は、花も実もつかないので、枝元(株元)で切る | ・ほとんど枝別れせずまっすぐ伸びる ・地下茎が伸びて、そこから新しく芽が出て伸びる |
万両 | 4月頃 | 樹形があまりに乱れたら、古い不要な枝を切る | ・芽が出にくいため枝分かれが少なく樹形が乱れにくい ・剪定後数年は花が咲かず、実がつかないことがある |
▶剪定に使うハサミについてまとめています。
まとめ
秋に赤い実をつける木の枝は、お正月飾りやお花のアレンジメントのアクセントに便利です。
ここでは、南天(ナンテン)、千両(センリョウ)、万両(マンリョウ)の特長や育て方をまとめて紹介しました。
日本では古くから縁起のよい植物として人気があります。
枝を切って飾って楽しんだり、南天の葉には防腐作用があるので、赤飯や他のお料理に添えたりと実用性もあります。
冬の彩りに重宝します。とても育てやすい植物なので、栽培してみませんか?おすすめです。
こちらの記事もぜひご覧ください。